私は関係ないんじゃないって思ったのに、鞄を取りに行った三浦さんが逃げないようにと梶さんにとっつかまり、人質扱いに。
退勤処理をして三浦さんと永屋さんがそろって戻ってくると、私の腕を押さえていた梶さんがほっとしたように放してくれた。
この人、今完全に私が仕事相手だって忘れているよね?
「和賀さんはこっち」
永屋さんは、梶さんから引き離すように私を引っ張り、三浦さんとは反対側の隣へおいた。
「どこ行きます?」
「その辺の店でいいでしょ」
「多少静かに話せるとことじゃないとダメでしょ」
言いながら、店を探す永屋さん。結局、この間の鍋店がいいということで決まった。
小上がりは満員だったので、奥のほうの四人掛けの席に座る。……のはいいんだけど、やっぱり解せない。
なんで私と永屋さんが混ざってなきゃならないんだ?
「まあ久しぶりですし、一杯飲みます?」
なんとなく盛り上げようとする永屋さん。
「なんか、悪いね永屋くん」
気遣いを見せる梶さん。
「…………」
そして絶好調に膨れている三浦さん。
彼女がこんなに大人げないところ初めて見た。
「料理はこれとこれと……」
仕方なく、注文担当になる私。
三浦さんはいつも飲み会の時ビールだったはずなので、自分だけ梅酒をいただくことにしよう。



