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それから込み合う朝の電車で、なんとなく永屋さんの姿を探してしまうようになった。
前みたいに話したい。
そう思っている自分がばかみたいで落ち込む。
そもそも、嫌われるくらいなら……なんて考えもおこがましかったんだよ。
あんな風にかまってもらえる状況がすでに奇跡的なことだったんだから。
最近では、仕事の話をしていても、話し終えたら永屋さんはすぐ行ってしまう。
これが普通の同僚の距離だ。
つまり、私が望んでいたのは、最初っから普通の同僚なんかじゃなかったってこと。
彼に好きでいてもらうためにしなきゃいけない努力を投げ出してから、欲しいものがあれだったと気づくなんて間抜けすぎる。
最寄駅までついて、人ごみの中を歩いていると美波ちゃんと川西さん、神谷さんが並んで歩いているのを見かけた。
どうしよう。
勇気を出して話しかけてみようかな。
少しずつ雑談だけでもできるようになれば、もうちょっと打ち解けられるかもしれない。
こそこそと近づいて行って、なのに声をかけそこなってしまったのは、三人の会話に私の名前が出ていたからだ。
「ふたりの態度、とげとげしすぎだよ。あれじゃあ、香澄ちゃん可哀想だよ」
「美波はすっかり和賀さんと仲良くなったんだよね。もう私らと一緒にいることないもんねー」
「香澄ちゃん、いい人だよ。未久ちゃんやなっちゃんも一緒にお昼食べようよ」
「ヤダよ。休憩時間までバカにされるんじゃやってられないっての」
馬鹿になんて、してないんだけどな。
何をどう変えたら、伝えることができるんだろう。
けなしたいんじゃなくて、いいものを作りたいだけなの。
ミスは誰にでもあって、でもミスを見つけるのは案外他人のほうが早くて。
だから一緒にやっていけたら、スムーズに仕事が進むって思うのに。
それから込み合う朝の電車で、なんとなく永屋さんの姿を探してしまうようになった。
前みたいに話したい。
そう思っている自分がばかみたいで落ち込む。
そもそも、嫌われるくらいなら……なんて考えもおこがましかったんだよ。
あんな風にかまってもらえる状況がすでに奇跡的なことだったんだから。
最近では、仕事の話をしていても、話し終えたら永屋さんはすぐ行ってしまう。
これが普通の同僚の距離だ。
つまり、私が望んでいたのは、最初っから普通の同僚なんかじゃなかったってこと。
彼に好きでいてもらうためにしなきゃいけない努力を投げ出してから、欲しいものがあれだったと気づくなんて間抜けすぎる。
最寄駅までついて、人ごみの中を歩いていると美波ちゃんと川西さん、神谷さんが並んで歩いているのを見かけた。
どうしよう。
勇気を出して話しかけてみようかな。
少しずつ雑談だけでもできるようになれば、もうちょっと打ち解けられるかもしれない。
こそこそと近づいて行って、なのに声をかけそこなってしまったのは、三人の会話に私の名前が出ていたからだ。
「ふたりの態度、とげとげしすぎだよ。あれじゃあ、香澄ちゃん可哀想だよ」
「美波はすっかり和賀さんと仲良くなったんだよね。もう私らと一緒にいることないもんねー」
「香澄ちゃん、いい人だよ。未久ちゃんやなっちゃんも一緒にお昼食べようよ」
「ヤダよ。休憩時間までバカにされるんじゃやってられないっての」
馬鹿になんて、してないんだけどな。
何をどう変えたら、伝えることができるんだろう。
けなしたいんじゃなくて、いいものを作りたいだけなの。
ミスは誰にでもあって、でもミスを見つけるのは案外他人のほうが早くて。
だから一緒にやっていけたら、スムーズに仕事が進むって思うのに。



