三対の目が私に降り注がれる。一気に緊張して頭が真っ白になってきた。
「えっ、と。では進め方なんですけど。この、えっと、資料を見てください……」
あれ、おかしいな。
客先で話すのより緊張してきた。
だって、ふたりの目がすんごく不審そうなんだもん。
斉藤さんや梶さんは割と好意的な目を向けてくれたし、自分たちのシステムだから積極的に意見も出してくれた。
でもこのふたりは、今不信感でいっぱいみたい。
私がリーダーなんか務まるのかって思われてるに違いない。
でも私自身もそう思うもん。三浦さんみたいに、みんなの不安を払しょくするようなことも言えない。
気が付けば手が震えてきた。目が回りそう。
いわゆる女子の視線って、男性のそれよりもはっきりしていて、不信感や敵意が直接突き刺さってくる感じ。
「進め方は……資料を、確認してください。追って手順や注意事項は文書にしてお伝えします」
敗北。
これ以上、人前で話すのなんか無理。下を向いて大きく息を吐きだした。
ふたりはますます不信感をあらわにして、「資料通りに進めればいいってことですね?」と尖った声を出した。
「は、はい。すみません。よろしくお願いします」
「じゃあ戻りますね。いいですか、三浦さん」
私ではなく、三浦さんに確認をとる。
三浦さんは私をちらりと見て「そうね」と頷いた。
去り際の、「何のために会議室に集まったの」という彼女たちのボヤキが、耳に入ってくる。
そうだよ、反論できない。まったくもってその通り。



