私が一発殴ってやろうとした瞬間、大津くんが動いて桐谷隼斗の胸ぐらを掴んだ。


「なに言ってんだよ隼斗」


そして、今まで聞いたこともない低い声でそう言った。


「快斗!」


そんな大津くんを黒崎蓮が止めた。


「………そんなキレんなよ、快斗。
らしくねーよ。悪かったって。」


桐谷隼斗がそう言いながら大津くんの手を離させた。

………だけど、こいつの発言はそんな程度では済まされない。


「………帰る。」


私は乱暴に勉強道具を片付けて立ち上がった。


「ちょ、待ってよ桜子ちゃん!」


そんな私を大津くんが引き留めたけど


「結局、暴走族なんてみんな一緒なんだね。
よーくわかりました。」


大津くんを振りきって、私は部屋からでた。
外にいる不良軍団なんて気にすることなく、私は工場から出た。


いい社会勉強になった。
そう思うけど………あの人たちもあの暴走族と同じ考えだったことが、悲しくて仕方ないのはどうしてだろう。