「唯くん唯くん!」

「んー……」





誰もいない昼休みの屋上。

コンクリートの床に唯くんとふたり並んで座って、お昼ご飯を食べながら喋っている。頭上では風に乗って雲が流れていた。

錆びた白いフェンスに寄りかかって、私の膝の上には中身を食べ終わったお弁当箱が広がっている。



空っぽのお弁当箱を閉じながら彼を呼ぶ。
唯くんはスマホでいつものゲームをしている。


お昼ご飯のサンドイッチの最後のひと口を口に放り込んで、唯くんが適当な返事をする。




「じゃーん!」



持って来ていた100円ショップの袋の中から、カラフルなパッケージの袋を取り出す。




「……何それ」



やっと顔を上げた唯くんが、パッケージに書かれた文字を読んで、眉をひそめる。
うん、そういう反応だと思ってた。



「シャボン玉だよ」


見ればわかるでしょ。なんて続ければ、



「何で持ってるのか聞いてんだよ」


なんて、怪訝な顔をする唯くん。





あたしが持ってるのは、シャボン玉の液と、吹くためのストローみたいな棒。

ここ数年は目にもしなかったようなおもちゃ。


昨日たまたま寄った100円ショップで見かけて、久しぶりにどうしてもやりたくなってしまって買ったんだ。