私たちのクラスは、浴衣を着て和菓子やお茶を売る「和カフェ」をやることになっている。

浴衣を着れるのが嬉しいし、初めて見る唯くんの浴衣姿も楽しみだ。



みんなそれぞれに、和風の看板や衣装、教室の装飾を作っている。


女の子はだいたい衣装や細かい装飾をやっているんだけれど、私は裁縫が苦手だから看板を塗っていて。



一緒に看板を塗っているのが男の子ばっかりで、ちょっと寂しかったから唯くんが来てくれて嬉しい。

……唯くんのことだから、それに気づいて来てくれたのかもしれないけど。

意地悪なところしか表に見せないくせに、その裏側はとびきり優しいのを、私はもう知ってるからね!




「クーラー付いてても暑いね」

「設定温度高いもんな。28から下げられないんだっけ?」

「うん、たしかそう」


そんな会話をしながら、看板を縫っていく。

唯くんの指が綺麗で、思わず見惚れてしまった。