私が唯くんを好きになったあのお祭りの日から、約1年が経とうとしている。



「唯くん、ここが分からないです……」

「あー?」




夏休み真っ只中、唯くんの部屋で、山のような夏休みの課題を片付けている私たち。


まだまだ夏休みが終わるわけじゃないんだけど、私はいつも最終日に泣く羽目になるから、早いうちに唯くんに教えてもらおうという作戦だ。

苦手な数学は特に、1人ではできる気がしない。


蒸し暑い部屋で、扇風機にあたりながらノートを団扇がわりに仰いでいた唯くんが、面倒くさそうにこっちを見た。

暑いせいでいつもより機嫌が悪い。