「っ……なにそれ、ずるいだろ」 「へ……?」 「可愛いんだよ、ムカつく」 そう言って倉科くんは、私の髪をくしゃっと撫でた。 夕暮れの教室。 私たちは顔を見合わせて笑って、倉科くんが「帰ろうか」って優しく微笑んだ。 机の上に積まれた大量のプリントを持って2人で職員室に行って。 見慣れた廊下すら、ドラマで見たワンシーンみたいにキラキラしてて。 ちょっと恥ずかしくて、目が合うたびにふたりで笑って目をそらす。 私は、倉科くんの彼女になった。