三年生でも遥と同じクラスにはならなかったけれど、時々は連絡をとりあっていて、何かうまくいかないことがあってもそれだけで耐えることができた。

同じ高校に進学して、同じクラスになり、そして前と同じように友達作りに失敗した私を、遥が自分のグループに引き入れることで助けてくれた。


「……遥がいなかったら、きっと私は今、ここにはいないと思います」


堰を切ったように全てを話し終えた私は、深川先輩の目を見ながら言った。


「命の恩人ってやつか」


先輩が呟く。

私は曖昧に微笑んだ。


遥は私にとって、『恩人』なんて言葉では足りないくらい、圧倒的な救いの存在だった。


この十五年の人生で一番つらかったときに、誰かに救いを求めることさえできないでいた私に救いの手を差しのべてくれた人。

絶望に打ちひしがれていた私のもとに舞い降りた天使、暗闇に射した一筋の光。


「本当に、本当に大切な人なんです。だから、絶対に遥を傷つけるようなことはできない」


遥の好きな人を好きになるなんて、絶対にしてはいけないことだった。

決して許されないことだった。


それなのに、私は彼方くんを好きになってしまった。

駄目だ、やめなきゃ、と思ったのに、自分ではどうしようもなかった。

想いをとめられなかった。