「お前、尻尾ちぎれそうだぞ」 「えっ?」 「犬っころみたい」 「犬……」 「お手」 「わん……」 つい、彼が出した手に手のひらを乗せてしまった。 その瞬間、クールな多賀宮くんが、吹き出して笑い始める。 「お前、それ、反則」 きれいな顔をくしゃくしゃにして、多賀宮くんが笑う。 まるでお花みたいな、きれいな多賀宮くんが、ゲラゲラと笑うのはちょっと変、というか違和感があるというか……。 だから、レンタルショップの客が、怪訝そうに私たちを見て、通り過ぎていく。