ケダモノ、148円ナリ

「産業スパイが人事部長になれるわけないだろ。
 お前も短期間だが、人事で得た情報は一生涯しゃべるなよ」
と言われ、はい、と頷く。

 エレベーターには誰も乗ってこず、貴継は自分を見ている。

 間が持てず、
「な……なんですか?」
と訊くと、

「いや、同じ会社ってのもいいもんだな。
 いつでも顔を見てられる」
と言ってきた。

 しれっとした顔で言われないでくださいっ。

 しれっとっ!

「トロトロすんなっ。
 早く降りろっ」

 いつの間にか扉は開いていて、さっさと降りた貴継が扉を開けてくれていた。

「はっ、はいっ」
と明日実は慌てて、エレベーターを降りる。