顕人から手を離したが、明日実は貴継の腕を離さなかった。
「退け」
と静かに顕人は言い、立ち上がる。
「……悪かった、明日実。
今日、此処に来るまでは、まだ俺にも少しは希望があるんじゃないかと思ってた。
お前はいつも、俺の後をついて来てくれてたから」
すまない、と明日実に謝った顕人に、貴継が、
「俺には謝罪はないのか」
と言う。
「お前は俺の首を絞めただけだろうがっ。
いいか、明日実が泣いたら、すぐに取り返しに来るからなっ。
いや、二、三年経ったら、明日実はお前に飽きるに違いない。
その頃、颯爽と俺が現れるから。
それまで、せいぜい明日実を大事にするんだなっ」
……おにいさま。
なんとなく感謝をしながら、……するべきところだろうかな、と思いながらも、見送ろうとしたのだが、
「待て、顕人」
と去ろうとする顕人を呼び止める。
「退け」
と静かに顕人は言い、立ち上がる。
「……悪かった、明日実。
今日、此処に来るまでは、まだ俺にも少しは希望があるんじゃないかと思ってた。
お前はいつも、俺の後をついて来てくれてたから」
すまない、と明日実に謝った顕人に、貴継が、
「俺には謝罪はないのか」
と言う。
「お前は俺の首を絞めただけだろうがっ。
いいか、明日実が泣いたら、すぐに取り返しに来るからなっ。
いや、二、三年経ったら、明日実はお前に飽きるに違いない。
その頃、颯爽と俺が現れるから。
それまで、せいぜい明日実を大事にするんだなっ」
……おにいさま。
なんとなく感謝をしながら、……するべきところだろうかな、と思いながらも、見送ろうとしたのだが、
「待て、顕人」
と去ろうとする顕人を呼び止める。