「私も嬉しかったなー。
高校生のとき、顕人がくれた、今思えば、オモチャみたいなネックレスとか」
と言い出す。
うわー。
なんとなく知ってはいたけど、鏡花さんがおにいさまとのことを口に出すのは初めてだ、と思っていた。
少し年が離れているので、ぼんやりとは知っていても、なんだか遠い世界の出来事だったから。
「寝かしつけといたよー」
とご主人が顔を出す。
「ありがとう。
貴方も一緒に呑む?」
と振り返り、鏡花は言っていたが、ご主人は穏やかに微笑み、
「いや。
女同士ゆっくり呑みなよ。
おやすみ。
明日実さん、ごゆっくり」
と言って、去っていった。
「いいご主人ですよねー。
でも、聞こえてなかったですか? 今の」
顕人もよく此処へ来ていると思うのだが、と思いながら言うと、
「いいのよ。
知ってるから。
だって、昔のことでしょ。
今、なんとも思ってないから、平気で言えるし。
家にも呼べるのよ。
それに、顕人という失敗があったから、今があるって言うかね」
と鏡花はサバサバした口調で言っていた。
高校生のとき、顕人がくれた、今思えば、オモチャみたいなネックレスとか」
と言い出す。
うわー。
なんとなく知ってはいたけど、鏡花さんがおにいさまとのことを口に出すのは初めてだ、と思っていた。
少し年が離れているので、ぼんやりとは知っていても、なんだか遠い世界の出来事だったから。
「寝かしつけといたよー」
とご主人が顔を出す。
「ありがとう。
貴方も一緒に呑む?」
と振り返り、鏡花は言っていたが、ご主人は穏やかに微笑み、
「いや。
女同士ゆっくり呑みなよ。
おやすみ。
明日実さん、ごゆっくり」
と言って、去っていった。
「いいご主人ですよねー。
でも、聞こえてなかったですか? 今の」
顕人もよく此処へ来ていると思うのだが、と思いながら言うと、
「いいのよ。
知ってるから。
だって、昔のことでしょ。
今、なんとも思ってないから、平気で言えるし。
家にも呼べるのよ。
それに、顕人という失敗があったから、今があるって言うかね」
と鏡花はサバサバした口調で言っていた。