ケダモノ、148円ナリ

 そのとき、
「部長、すみません。
 ちょっと」
と離れたデスクの若い男性社員が手を上げ、貴継を呼んだ。

 貴継はすぐにそちらに行き、画面を確認し、うん、と頷く。

「そうだな。
 悪くない。

 だが、如何にも前年度のをコピーしましたみたいなのもどうかな。

 まあ、このままの方が間違いはないが。

 すぐいちゃもんつけてくる奴居るからな」
と良いながら、この間自分にしたように、彼の後ろからマウスをつかみ、動かしている。

 あ、男でもやるんだ……。

 やはり、特に深い意味はないらしい。

 嬉しいような、悲しいような。

 まあ、仕事中は別人だもんな。

 颯爽として、格好いいといえば、格好いいかな、とつい、手を止め、眺めていると、

「ありがとうございますっ、部長っ」
と男性社員は最敬礼だ。

 貴継が振り返り、二、三、いちゃもんをつけられない文章の作り方について語っていた。

「ありがとうございますっ。
 感激ですっ」

 体育会系か。

 なんだか、人事部という厳しい部活動のような気がしてきた。