ケダモノ、148円ナリ

「食べてからよ」

「もう食べたよ。
 喉乾いたー」

 ……味が濃いからでは、と思っていると、鏡花は振り返り、茶碗をさげていた夫に、
「あなた、学(まなぶ)たちにジュース」
と命令していた。

 はいはい、と孝司は文句を言うでもなく、それに従っている。

 子どもたちがそっちに行くと、鏡花がぼそりと言ってきた。

「つまんない女と結婚したら許さないと言っておいたはずなのに、なんでこうなるのよ」

「しょうがないだろ。
 俺の意志なんて入る余地なかったんだから」

 食事が終わったあと、顕人が持ってきたケーキをみんなでテレビの前のローテーブルで食べた。

 痴情のもつれに寄る事件を見ながら、
「……殺人か」
と呟いた顕人を、ビクついた顔で鏡花が見る。

 完全に警戒している顔だった。

 そんなに今の自分はまずいだろうかな、と思う。

 まあ、勝手に明日実の部屋に入り込んだ時点でかなりだとは思うが。

 それにしても……

 なんであっさり、あんな男を見つけてくるのやら。