「実はあの屋敷にひとつだけ和室があるんだが。
そこで寝ると自分の身体の横に……」
ひゃー、と声を上げ、貴継につかまれていた手を片方ふりほどくと、ランプの火を消した。
「こらっ。
まだ話してないだろうがっ」
「もう充分怖かったですっ」
「いや、待て。
そうか。
わかったぞ。
お前、早く俺と暗い場所で二人きりになりたかったんだな」
と貴継は明日実の腰に手を回し、抱き寄せる。
「はっ、離してくださいっ。
趣旨が変わってきてますよっ」
逃げようと悪あがきをしながら、明日実が言うと、
「莫迦だな、明日実。
男が怪談話をしようと言ったら、そういうことだ。
趣旨は最初からなにも変わってない」
と明日実を抱いたまま、ろくでもない主張を始める。
そのとき、奥の方から、ことり……と音がした。
「でっ、出ましたよっ」
明日実は今、逃げようとしていたはずの貴継の胸にすがりつく。
そこで寝ると自分の身体の横に……」
ひゃー、と声を上げ、貴継につかまれていた手を片方ふりほどくと、ランプの火を消した。
「こらっ。
まだ話してないだろうがっ」
「もう充分怖かったですっ」
「いや、待て。
そうか。
わかったぞ。
お前、早く俺と暗い場所で二人きりになりたかったんだな」
と貴継は明日実の腰に手を回し、抱き寄せる。
「はっ、離してくださいっ。
趣旨が変わってきてますよっ」
逃げようと悪あがきをしながら、明日実が言うと、
「莫迦だな、明日実。
男が怪談話をしようと言ったら、そういうことだ。
趣旨は最初からなにも変わってない」
と明日実を抱いたまま、ろくでもない主張を始める。
そのとき、奥の方から、ことり……と音がした。
「でっ、出ましたよっ」
明日実は今、逃げようとしていたはずの貴継の胸にすがりつく。