ケダモノ、148円ナリ

「あ、そうだ。
 栗原くん、100円返さなきゃ」

 ああ、せっかく可愛い袋に入れてたのに、今、持ってないや、と思っていると、
「いいよ。
 返さなくて」
と言いながら、栗原は自動販売機で珈琲を買う。

「でも、そういうわけには」
と言いかけると、

「返さなくていいから、またやって見せてよ。
 今度は、3枚で」
と笑って言ってくる。

「えっ? 3枚で?」

「3枚を4枚にして見せてよ」

「ええーっ。
 難しそうなんだけど」
と言うと、

「ところで、佐野さんは休みの日はなにしてんの?」
と違う話題を振ってきた。

「え?」
とちょっと考え、

「今はとりあえず、働いてるかな」
と言うと、いや、今日じゃなくてと苦笑いしている。

「今度、暇なとき、どっか行かない?
 100円はそのときでいいよ」

 唐突に栗原はそんなことを言ってきた。

「え、でも」

「じゃあ、また連絡するね」
とこちらの答えを聞かずに行ってしまう。