望果の優しい笑顔。

私はそれすごく嬉しい。そう言って今度は卵焼きを口に入れた。


好きか、どうかはわからないけど。

たしかに望果の言うとおり。

ゆっくり、私は“喋れる”人を増やしてる。



「ちなみに、騎馬戦の件ははっきり言って裕哉君が悪い。

キスとかそんな言葉に、惑わされる方が悪い!」



変な所に真面目なんだから。

と口を尖らせながら、望果は当たり前のように私のミートボールにフォークを突き立てた。



「騎馬戦は、何言ったって戻ってこないんだしさ。

申し訳ないって気持ち持っちゃうのは分かるけど、そこにとどまるのは暁里らしくないって思う。」

「うん。」

「分かるよ?分かってるよ?もし私暁里だったら同じ風に思うと思うもん。

でもさ、ここはやっぱプラスに切り替えなきゃっ!!」

「―――プラス?」



私が聞き返せば、半月型になってしまったミートボールを私の口に押し込み、

望果はにっと笑った。



「私たちが勝つしか、ないっしょ。」



私たちが、って。

借り物競走は午前の部3番目だったし。

リレー終わったし。

私ハードル走ちゃんと1位取れたし。

あと何が。・・・・・・・って。



「まさか―――」

「そ。選抜リレー。」



そっか。それか。