もしも、もしも、ね。



「暁里、知り合いなの?」



いつの間にか体を起こした望果が私の顔を見つめた。

「まぁ」と呟いた声は、自分でも驚くほど掠れてた。

少しだけ不安そうに眉を下げた望果を見れば、私の様子の変化は気付いたようだ。

わかってる。あからさまだって。

でも、ポーカーフェイスなんて、出来なくて。



「暁里の友達?」



上から見下すような高圧的な口調。

望果に、そんな口調しないで。

どうせまた女だって思って、チェックを兼ねて舐めるように見てるんでしょう。

文句も、嫌味も、心の中でだけ。

私は、一瞬陸斗を見て、けれどその視線に顔を逸らす。

そして押されるように首を縦に動かした。



「なら、自己紹介しとこっか。

オレ、三上陸斗。暁里と同じ中学で、これでも元彼でーす。」



ふざけた口調の陸斗。

けれど、その内容は3人を驚かせるには十分で。

みんなの視線が私に向いたのがわかった。

ばれた。そうは思っていなかった。

別に隠してたわけじゃなかったし。

けれどなんとなく罪悪感という名のものが私の心を一気に占めた。



「バカにしに来たの?」

「だから、アカリに会いに来たって言っただろ?」



また手を伸ばしてくる陸斗から一歩後ずさる。

だめ、これ以上流されちゃ。

そう自分に言い聞かせ、

陸斗の驚いた表情を目に映しながら、真っ直ぐ彼を見据えて大きく息を吸って言った。



「私、二度と会いたくないって言ったよね?」

「―――あぁ、言ったな。」

「だったら「でも、オレは了解した記憶はねぇ。そうだろ?」

「そう、だけど。」