全校集会が終わった後
みんな静かに教室に戻った。


この教室の空気はピリピリしているわけじゃない。

冷や冷やしている。


私は尾崎さんの席に花を置いた。

するとガタンッと音がしてクラスメイトは音がした方を注目した。


「私は、尾崎さんのようにはならない!!」


音を立てたのは加藤さんで、自分の荷物を持って教室を飛び出そうとしたところ水谷さんが加藤さんを止めた


「待って、夏希!!」


「離してよ!この裏切り者!!」


加藤さんは水谷さんを振り切り教室を出て行った。


私たちのクラスは一階にあり窓から校門が見える。


加藤さんは帰ったのだ。


尾崎さんが亡くなって、もしかしたら次は自分の番とでも思ったのかもしれないと思ったに違いない。


加藤さんの行動はけして間違っていない。

自分の身を守りたいのは誰だって同じたから。


雪村先生は教室に入ってくるなり加藤さんが帰った事を気にもとめず、尾崎さんの葬儀、告別式に私たちが参列する事が決まったと話した。


クラスメイトだから当たり前。


そんな事、誰だってわかるはずなのに不服そうな表情をしている人もいた。


どうして不服なの?そんなに尾崎さんが許せないの?


確かに沙耶はクラスの人気者だった。

明るく元気で分け隔てなく皆に接していて、その中でも一番仲が良かったのが梶谷さんだった。


彼女が亡くなった時はみんな涙を流していたのに今は違う。

涙すら流してない

この差は何?

人間には感情がある。

みんなはロボットなんかじゃないのに、どうして?


このクラスは変わってしまった。

『沙耶はこのクラスの生徒に殺された』

そう梶谷さんから告白されてから変わってしまったんだ。


そんな大事な事を雪村先生は気づいていないのか、それとも気づかないフリをしているのか。

この心境に気づけなく行動をしないところから見ると、先生と生徒の信頼関係はこのクラスには……無い。