尾崎さんの家は私の家から近い。

だからと言って幼馴染みのような特別な関係者ってわけでもない。


確か尾崎さんは中学に上がる時に引っ越してきたような気がする。


その時に尾崎さんのお母さんがご挨拶に来たぐらいの少ない交流だった。


近所の割には尾崎さんと関わることが無かった事を今になって実感する。

尾崎さんは大人しい人。

沙耶とは正反対だったかもしれない。

かと言って梶谷さんと似ているってわけでもない。


「あれ?そういえば尾崎さんと沙耶って……」


私は沙耶と尾崎さんが話しているところを見たことがあることを思い出した。

テスト前になると放課後、教室で一緒に勉強していた。

その場には梶谷さんもいた。尾崎さんと沙耶は交流が少なからずあった。


なら、どうして尾崎さんは沙耶を?

勉強をしあう仲なら良好だったはず。

この疑問を解決するためにも私は尾崎さんの家に向かった。


* *


向かったのはいいけれど尾崎さんの家は周りの家に比べて立派な家だと思い圧倒されてしまった。


インターホンを押すのに何故か緊張してしまい指がブルブルとする。


がチャッ


私がインターホンを押そうとしたら尾崎さんの家の玄関のドアが開き、中から内海さんと水谷さんが出てきた。


「内海さん、水谷さん…」


思わず声をかけると二人も私に気づいたようだった。


「翔子、尾崎さんに会いに来たの?」


内海さんの言葉に私は頷いた


すると内海さんはしょんぼりした顔をして私に教えてくれた。


「私も尾崎さんに会いにきて、お母様が家に入れてくれたんだけど、尾崎さんの部屋には入れなくて。私が一方的に話す事しか出来なかった」


内海さんも水谷さんも尾崎さんとは会えず、ちゃんと会話も出来なかったみたい。


二人が行って無理なら私も無理だろう。


だけど少し安心した。


尾崎さんを心配しているのが私だけじゃ無かったことに。


目的は沙耶の死について知っている事を聞く事だったけど心配もあった

梶谷さんのあんな公開処刑のような告白は精神的にキツイ。

もちろん尾崎さんが悪い事をしたという事実があるっていう気持ちは忘れてはいけない。


「明日からどうなるのかな、私たちのクラス」


水谷さんは不安そうに口にした。
それはみんな思っている事だと思った。