「ああ。後輩がちょっと問題起こしちゃってさ。でももう平気」


「なら良かった」



律くんが行って事態が収束するほど、律くんはサッカー部にとって重要な人ってこと。

今後はあたしのせいでサボるなんてことがないようにしないと。



「そうだ、ほら」



律くんが右手を掲げる。


……あ。



「……あたしも」



下唇を噛み、はじけそうなうれしさを抑えて右手を出した。



土曜日に買ったおそろいのペアリング。

どの指にはめようか話し合って、右手の薬指に付けることにしたのだ。


同じ指に、同じリング。

買った時もうれしかったけど、実際に律くんの指にはめられているのを見ると死にそうなくらいうれしい。