高校二年になって三回目の席替え。


くじ引きが終わって、少しわくわくしながら新しい席に移動したのも束の間、

隣の椅子にどすんと腰を下ろした人物が誰なのか、視界の端で確認した私は、心の中で『げ、最悪』と顔をしかめた。


本当に最悪だ。ついてない。

まさかこいつが隣になるなんて。


私はげんなりしながらマスクをつまんで引き上げた。


それでもこいつは、私の絶望などつゆ知らず、いつもの飄々とした表情で窓の外を見ている。


「おっ、うしろ青磁か」


彼の前の席になったらしい男子が、振り向いて嬉しそうに言うのが聞こえた。


こんな最低人間に近い席になって、何が嬉しいんだか。

まったく男子って本当にわけが分からない。


「おー、よろしくな、亮太」


にやにやしながら答えた彼の名前は、深川青磁。

私が世界でいちばん大嫌いな男だ。


ああもう、これからしばらくこいつの顔を見たり声を聞いたりしながら学校生活を送らなきゃいけないなんて、考えただけで気が重い。

自然とため息が出そうになるのを、私は必死にこらえた。