一時間目が終わってすぐに携帯を見たけれど、返事は来ていなかった。

やっぱり具合が悪くて寝ているのかもしれない。

自然とため息が洩れた。


休み時間ごとに携帯を確認して、やっと返信が来たのは昼休みだった。


『風邪じゃない。元気。明日は行く』


なんとも簡潔なメールだった。

いかにも青磁らしくて、ふふっと笑ってしまう。


「なになにー? 嬉しそうに笑っちゃって。愛しの青磁くんから連絡?」


沙耶香がにやにやしながら声をかけてきたので、違うと返そうと思ったけれど、笑っていたのも青磁からの連絡だというのも本当なので、なにも言えなかった。


それにしても、風邪ではないなら、なんで休みなんだろう。

明日は来るということは、体調が悪いわけではないということだろうか。


気にはなったけれど、深入りするのも良くないと考えて、『なら良かったです、また明日』と返信して携帯を閉じる。

青磁からは『どーも』と帰ってきて、それでメールのやりとりを終えた。


その日は一日、びっくりするほど退屈だった。

青磁がいない教室はひどく味気なく感じたし、放課後もひとりで屋上に行く気にはなれず、久しぶりに終礼と同時に帰路についた。


いつの間にか、青磁と過ごすことが自分にとっての当たり前になっていることに気づかされて、なんだか不思議な感じがした。

でも、そのときの私はまだ、それが何を意味するのか分かっていなかった。