キミと私の好きなヒト





「最近は距離が開いてたけど、わたしたち双子だよ。ずっと一緒にいて、誰よりお互いのことわかってる」

「……」

「だから、知ってるんだよ。
理加の恋を、どれだけ徹のことが好きかを」



落ちてしまった実加の視線はあがらない。

目はあわないまま、言葉だけがふたりの前に積みあがる。

ぐらぐらと揺れて、実加らしくなく、それはとても不安定。



「理加を傷つけたら、徹と付き合えても嬉しくない。これ以上理加が離れていくのがこわい」

「実加……」



なんて傲慢で、どこまでも正直な言葉。

だけどいつも明るく笑顔な実加の本音だとわかったから、真実だったから、否定できない。



実加の言葉どおり、もしもふたりが付き合うことになっていたなら、私は今キミの部屋に足を踏み入れていない。

前よりずっと避けるようになって、苦しくてそばになんていられなかった。

それがいやだと言うのなら、どうすることもできないよ。



「徹が好き。
でもわたし、理加のことも好き」



彼女の想いが、答えが、胸に突き刺さる。

どうしようもなく、痛かった。