明るい実加、優しい実加、私の双子の片割れ。

キミは三木くんのそばにいると、誰が見ても可愛い女の子になる。

弾んだ声と紅潮した頬に、心底嬉しそうなとろけそうな笑み。

三木くんへの想いが恋になる前から、「徹がね」とあの人の下の名前を自然と口にして、話をたくさん聞かせてくれていた。



それが嬉しかったはずなのにそうは思えなくなり、どろどろとした醜い自分を持て余して、私は複雑な感情に溺れていた。

だから、と逃げるように実加を避けるようになった。



これ以上実加を拒絶したくなかったから。

……嫌いに、なりたくなかったから。



私の嫉妬と劣等感で距離ができた私と実加。

私の知らない間にきっと三木くんとは距離が縮まったと、そう信じて疑わなかった。

それなのに。



ある朝耳にした、噂。

どこから漏れたのか、誰が言い出したのか、なにもわからないけどそこかしこで囁かれる話。

信じられず、だけど心から疑えずにいた時のこと。



「……三木くん?」



校内の自販機の前。

偶然にもそこにいた三木くんの姿に反射的に心臓は甘く震えて、そして彼らしくない様子を不審に思った。