していた、のに。
「お兄ちゃん、本当に、絵で成功できるの?」
自分で思っているよりもずっと脳ミソが沸騰していて、いましゃべっているのが本当に自分なのかどうかすら、判断がつかない。
「なりたいと思って、どれくらいの人がイラストレーターとして生計を立てられるものなの? お兄ちゃんは、自分がぜったい成功できるって、本当に思ってるの?」
お兄ちゃんの絵、こないだはじめてまじまじと見て、たしかにうまいと思った。
絵画のスクールに通っているわけでも、美術部に所属しているわけでもない、独学でやっているわりには、高校生のわりには、かなり上手だ。妹のひいき目なしに、本当にそう思う。
だけど、そうじゃない。
どうしてももやもやしてしまうのは、絵がうまいとか、へたくそとか、そういうんじゃない。
「お兄ちゃんの部屋にあるたくさんの図鑑、誰が買ったの? 数えきれないほどの参考書も、まだ使えたはずなのに新しくしたデスクも、パソコンも、塾代だって、じゃあ、なんのために、お父さんとお母さんが一生懸命働いて、ぜんぶ、出してくれたの? お兄ちゃんはさ、それを、本当にイラストレーターになって、ちゃんとふたりに返していけるの?」
感情的にならべた言葉を、お兄ちゃんはいま、どういう表情で聞いているのだろう。
顔があげられない。
なんだか、息が苦しい。とても、目の奥が痛い。



