幼いころはほぼ毎日、お母さんの手によってかわいく結わえてもらっていた髪。
それを、もうやらなくていいと最初に拒否したのは、そうだ、わたしのほうだったんだ。
『いつも侑月がまねっこばっかりする。だから、あしたから、髪の毛結びたくない』
そんなせりふを何歳のときに言い放ったのか、よく思い出せない。
侑月は、あれを、聞いてしまってはいなかっただろうか。
『髪かざりももういらない。ぜんぶ侑月にあげる。
――侑月のほうが、似合うから』
侑月が幼稚園に上がってしばらくすると、妹は毎日わたしと同じヘアスタイルをせがんで、時にはヘアゴムまでをおそろいにしたがった。
『侑月、お姉ちゃんとおそろいでいいね』
『なんでも佳月と同じものを選んで、欲しがって、本当にお姉ちゃんのことが大好きなんだな』
ぜんぶわたしの真似ばかりのくせに、最後には必ず、侑月のほうがかわいがられてしまう。
その現実を、幼いわたしの心は、どうしてもうまく処理できなかった。
だから、すねて、お気に入りだったヘアゴムさえぜんぶ妹に譲ったんだ。
きっと投げつけるような気持ちだった。



