アイ・ラブ・ユーの先で

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胸元までのロングヘアを高い位置で結わえたまま帰ってきたわたしを、いちばん最初に褒めてくれたのは侑月だった。


「えっ、お姉ちゃん、それどうしたの、かわいい!」

「きょう学校で友達にやってもらったんだよ」

「えー、すごい! いいなあ、かわいい」


洗面所に手を洗いに行ったり、自室へ着替えに行ったりしている間も、侑月はわたしのうしろをチョロチョロとついてきては、ひとつにまとまっている毛先を弄んだ。

そのたびに筆のような感覚が首をなぞって、たまらなくくすぐったい。


「侑月もポニーテールしたいなあ」

「今度したら?」

「お姉ちゃんもする?」

「うーん、どうかなあ」

「えー。お姉ちゃんがしないなら侑月もしなーい」


なんだそれ。

思わず苦笑すると、「だってお姉ちゃんとおそろいがいいから」と、世界にたったひとりの妹はかわいく口をとがらせた。


「じゃ、いま、したげよっか?」

「えっ、いいの?」

「友達ほど器用じゃないから、こんなにきれいにはしてあげられないかもしれないけど」


ソファに座るよう促すと、ちょっと待って、となにか思い出したように侑月はリビングを出ていき、すぐに慌ただしく戻ってきたのだった。両手に小さな箱を抱えている。


「これね、ヘアゴム!」


うれしそうに言った侑月が箱を開けて見せてくれた。
そのなかには、形や色、大きさの違う、バリエーション豊かな髪飾りが敷き詰められていた。


「わあ、すごいね。どれにしようか悩んじゃうね」

「お姉ちゃんもいっしょに着けようよ。お姉ちゃんからのお下がりもいっぱいあるんだよ。覚えてる?」


たしかに、そう言われてみれば。
数えられるほどじゃない、けっこうたくさん、見覚えがあるかもしれない。