「どう? ウチ的にはかなり上出来なんだけど」
「うん、すごい……かわいい。ありがとう。やっぱり結桜、プロみたいだよ」
「え、うれしい! そんなこと言われたら毎日でも佳月のヘアセットしたい。やっぱりスッゴイ好きな髪質だったもん」
褒め言葉を、歪曲せず、褒め言葉として受け取って、返してくれる。
結桜のもつ純粋さや無邪気さは、侑月のそれとほんの少し似ていて、傍にいると心地よくて、好きなんだ。
「本当にありがとう」
「いいえ、こちらこそっ」
そう、嫌いなわけじゃない。
むしろ、すごく、好きなんだ。
どれだけうらやましくても、自分との違いばかりが目についても。
それはどう足掻こうと、“嫌い”と同一にはならない。
わたしは、お兄ちゃんのことだって、侑月のことだって、本当にすごく、すごく、好きなんだ。
いつだって、わたしが嫌いなのは、自分だけで。
撫でるように首筋に触れていく髪の感触が、どうにも慣れなくてそわそわしてしまう。
ちらりと目に入った、どこまでも透明な教室の窓にうっすら浮かび上がっているシルエットが、まるで自分じゃないみたいだった。
まだうんと幼いころ、毎日のようにお母さんにヘアアレンジをしてもらっていたことを、ふと、なんとなく、思い出した。
髪を毎日下ろしたままにするようにしはじめたのは、いつごろだったかな。
お母さんのほうが面倒になったのか、わたしのほうが嫌がったのか、そんなことさえ、すでにもう、記憶のなかから消えてしまっている。



