アイ・ラブ・ユーの先で

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今年の梅雨入りは例年より1週間早く、とても記録的だと、まったくうれしくもないニュースをスマホで読むなり、ベッドにダイブした。


ほぼ毎日、こうも雨が降っていると気が滅入る。

なにが嫌というわけでもないけど、それだけで体がだるくなるし、外に出る気力も削がれてしまう。


もう寝ようと思い、窓を打つ雨音をビートにしながらベッドサイドの充電コードをぐいと引っぱったら、突然ブツリと嫌な感触がした。


「え、うそ……断線した?」


最悪だ。画面の右上に表示されている電力の残量はたったの8%。
このまま眠ってしまったらきっと朝にはウンともスンとも言わなくなっているだろう。


徒歩5分のコンビニへ新調しにいこうかと上半身を起こしてみたものの、激しい雨音がいっきにその気力を奪っていく。

仕方なく部屋を出て、左右のうち、左側の扉を選んだ。


侑月は眠りにつくぎりぎりまで友達とメッセージのやりとりをしているはずなので、この時間に充電コードはきっと必須。となれば、お兄ちゃんに頼るのがベストだ。


コンコン、右の人差し指の第二関節で軽くノックすると、室内から「はいよ」と軽快な返事があった。

ドアを引っぱると、パソコンとにらめっこしていたお兄ちゃんが、入ってきた相手を確認するために一瞬だけこちらを向いた。


「ああ、佳月か。どうした?」

「うん、それが、充電コード断線しちゃって」

「マジ? いいよ、べつに、持ってっても」


さすがデキた兄貴である、最後まで用件を言わなくてもわかってくれる。