アイ・ラブ・ユーの先で

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翌朝もふつうに目覚めて、ふつうに登校したはずだった。

でも、なんの変哲もない、いつも通りの朝だと感じていたのは、どうやらわたしだけみたいだった。


「あ、結桜、おは――」


下駄箱で見つけたおなじみのお団子ヘアに声をかける。

だけど、ヨ、と続くはずだった挨拶は、勢いよくふり向いた彼女によって遮られてしまった。


「ちょっと、佳月っ」


精いっぱいの大声だけど、精いっぱいの小声。なんとも不思議なしゃべり方をした結桜に、いきなり二の腕をわしっと掴まれる。


「えっ」

「ちょっと、いいから、来てっ」

「な、なに、どうしたの、何事なの」


いくら質問を投げかけても答えをくれないので、されるがまま引っぱられて歩く。

そうしてたどり着いた、ほとんど人気(ひとけ)のない、職員室近くの階段の下で、結桜はきょろきょろ周りを気にしながらわたしを壁に押しつけた。



「ねえ佳月、

 ――水崎先輩と、つきあってるの?」



なにを言われているのか理解が及ばなかったおかげで、咄嗟に否定さえできない。


それ、なんの冗談?

そう笑い飛ばすべきかと思ったけど、わたしを見上げている小柄な結桜はどこまでも真剣な目をしていて、なんだかそういうわけにもいかなそうだ。


もしかして、そんな意味のわからないことを、本気で言っているわけ?


「実は、見たって人がたくさんいるの」


結桜はわたしの返事を待たず、いっそう声をひそめて言った。