そういうわけで、テーブルに先輩と、ふたりきり。
わたしばっかり食べたり飲んだりしているのもいたたまれないので、スプーンを差しだしたけど、いらないと突き返された。
「じゃあ、レモンティー、飲みますか」
「いいよ、さっきもらったし」
あ、と思い返す。
コンビニで買った紙パックのレモンティー、もしかして半分以上飲んでしまったことを気にして、ドリンクはこれを選んでくれたのだろうか。
強引で無遠慮で傲慢な人なのかと思っていたけど、実は、意外とそうではないのかも。
だって、こんなにおいしいプリンも食べさせてくれた。
「プリン、本当に、嘘じゃなくて世界でいちばん好きなんです。スーパーで売ってるプリンも、ケーキ屋さんで売ってるプリンも、こうやってカフェで作ってるプディ……、あ」
興奮しすぎておもいきり噛んでしまった。
ぶ、と。こらえきれない感じに笑った先輩が、テーブルに頬杖をついてニヤニヤとわたしを見る。これはまた、バカにされる予感がする。
「む……昔から、ちょっとだけ、“ら行”と“や行”の音が苦手で」
「へえ?」
「いまは言えるんですよ。らりるれろ、やゆよ、でも、気を抜くとたまに噛んじゃって」
「ふうん、舌ったらずなんだな」
先に言い訳をされて、からかう余地を失ったのがつまらないのか、先輩は退屈そうにグラスの水滴を指でなぞった。
「ストローの噛み癖も、昔からか」
「あ……」
ガジガジに潰れたストローの先を見て、しまった、と思った。
お行儀がよくないことは重々承知なので、気をつけているのだけど、やっぱりどうしてもやってしまう。
「……すみません」
「べつに謝ることでもねえだろ」
でも、やっぱり見た目はよくないと思うから。
隠すように口に含み、レモンティーを吸いこんでいるのを先輩がじっと見つめてくるから、少しだけ居心地が悪い。



