気がついたら砂浜に腰かけていた。
シーズンオフのせいか辺りには誰もおらず、お客さんはわたしひとりだけだ。
どうやら通学路の海辺を歩いているうち、手招きしているような青色に引っぱられるみたいに、下まで降りてきていたらしい。
いつもより近い場所で聞く波の音はずっと荘厳な感じがする。重々しい。とてもこわいのに、どこかで、とても心地いい。
体積の大きすぎるやかましい水音は、鼻をすする情けない音や、どんなにこらえても小さく漏れてしまう嗚咽を、ぜんぶさらってかき消してくれた。
「こんなとこ座ってたらケツ汚れるだろ。せっかくピカピカの制服なのに」
泣いているところを、この人にいきなり話しかけられるのは、これで2回目だった。
「おまえ、ひとりで泣くのが趣味?」
「な……ん、ですか、どうして、ここに」
「通りがかったら見覚えのあるみすぼらしい背中が見えたもんで」
みすぼらしいとは、なんだ。
あわてて手のひらで涙をぜんぶぬぐう。
背中だけでなく、顔までみすぼらしくなるのはまっぴらごめんだった。
「べつに、泣くのが趣味なわけじゃなくて、たまたま先輩によく目撃されてしまうだけです。こう見えて、いつもはぜんぜん、泣かないです」
「ふうん」
水崎先輩は、着用3年目で少し年季が入っているからか、『ケツが汚れる』こともあまり気にしていなさそうに、隣にドカリと腰かけた。
なんという無遠慮な人だと、会えば会うほどに思わされる。



