「もともと、僕とあゆみちゃんは親戚のなかで唯一の同級生で、すごく仲がよかったんだ。小さいころから、あるていど大きくなるまで、よく連絡も取りあったりして」
だけど、あの男がふいに現れたのだと、
彼とつきあううちに変わってしまった彼女と、最初に距離を置くようになったのは僕のほうだったと、
お父さんはとても苦しそうな顔をした。
「そうしているうちに、あゆみちゃんが病気で死んでしまった、って」
そのときの後悔を、ああ、とても言葉では言い表せないんだって、苦しげな表情を見たらすぐにわかった。
「彼女が肉親からも徹底的に勘当されていたという事実を知って、罪滅ぼしじゃないけど、入院費、葬儀代、そして、あの男が自身と、あゆみちゃん名義で金融機関で借りていたお金。その全部を、僕が肩代わりした。それから、あの子を引き取らせてくれと、妻と娘に頭を下げたあとで、昂弥を迎えに行った」
だけど、すでに中学に上がろうとしていた年齢の男の子と向きあうのはやはり一筋縄ではいかなかったと、語りながら苦笑をもらす。
昂弥先輩が自分でも『荒れていた』と語っていた時代のこと。きっと想像もできないほどむずかしかったに違いない。
それでもお父さんは、昂弥先輩を引き取ったことを後悔したことは一度もないと、きっぱり言いきった。
「ただ……昂弥のほうはね、僕があゆみちゃんとあの男にかわって綺麗にしたはずのものを、いまだに少しずつ、返しつづけてくれるんだ。毎月まとまった額を受けとるたび、悲しくて、寂しくて、やりきれなくて、仕方なくなる。
僕らは家族としてこの子になにができるんだろうって、いまでもずっと、考えつづけてる」



