そうだ。こうなるのが嫌だったから、手伝ってもらったのだ。
茶色の紙袋を通して、みんなで折ったハートたちが、弱いわたしを責めたてているような、それでいて、奮い立たせてくれてもいるような。
「……いま、すぐ」
それを感じたら、自然と口が動いていた。
「いますぐ、行ってきてもいいですか?」
結桜、仁香さん、佐久間先輩、奥先輩、
それぞれがテーブル越しに顔を見合わせている。
「いーんじゃない? 善は急げって言うんだし」
「昂弥に泣かされたら電話してくるんだよー。おれら、すぐ駆けつけるから」
「佳月っ、がんばってね!」
「……頑張って」
500円玉を財布のなかから引っぱりだしてテーブルの上に放ると、黒いリュックをひっつかみ、急いでファミレスを出た。
秋になりかけた太陽が、そろそろ水平線の彼方へと沈もうとしている。
いつもはバイクのうしろに乗って進んでいた道のりを、きょうは両足の先にくっついたローファーで、着実に、一歩ずつなぞっていく。
ここ半年のうちにいったい何度の全力疾走をしているかな。
入学式の朝と、花火大会の夜と、それから、ああ、あとはなんだっけ。



