「あっというまだったね。ていうかおれら、折り紙してた時間より、しゃべってた時間のほうが長いんじゃない?」
「たしかに! それもほとんど水崎先輩の話しかしてない気がします」
「みんな昂弥のことが大好きってことだよ。ねー、一慶もねー」
佐久間先輩の呼びかけにやっぱりなにも応じない奥先輩に笑ったところで、ひとまずお疲れさまの乾杯をした。
なんの変哲もないドリンクバーのリンゴジュースが、いまはなによりもおいしく感じられる。
「さーて、佳月。あとは渡すだけだね」
ジャスミンティーを飲み終えた仁香さんが仕切り直すように言った。
「いつ行く予定なの?」
「あ……」
脇に置いていた紙袋を、テーブルの下でぎゅっと掴む。
これで本当に大丈夫だろうか。
なにか、足りていないものはないだろうか。
ぜんぶ完璧だろうか。
わたしが会いに行って、先輩は、嫌な気持ちになったりしないだろうか。
本当に、本当に、大丈夫だろうか。
そういう情けない思考なら、気を抜くといまだに簡単に生まれてしまう。
なにかと言い訳を探しては、先延ばしにしようともしているし、あわよくば中止にしてしまおうか、なんて、末恐ろしいことまで。



