アイ・ラブ・ユーの先で

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どれだけ願っても、そう簡単に消えてしまえるはずもなく、わたしはのうのうと生きつづけていた。

せめて、学校に行けなくなったり、まったくごはんを食べられなくなったり、夜さえ眠ることができなくなったり、そういう目に見える不調が現れてくれたら、マシなのに。


ぜんぶ忘れて前を向くほどの強さも持ち合わせていないくせに、彼のことを思い出さない努力をしている。

だからといって、ぜんぶを捨てて昂弥先輩のもとへ行く勇気もないのに、彼とのことを後悔ばかりしている。


体じゅう、矛盾だらけ。

どっちつかずの気持ちに押しつぶされているのか、引き裂かれているのかわからないまま、身動きがとれずに惰性の毎日をくり返していることだけが、たしかだ。


わたしはどこまで臆病なへっぽこ野郎なの。

こんなんじゃ、夏休み前、クラスメートとの関係に悩んで当たり前の日常を手放そうとした侑月のほうが、よっぽどえらいんじゃないかとさえ感じる。



あれから佐久間先輩がわたしにコンタクトを取ってくることはなかった。奥先輩も。

そして、もちろん、昂弥先輩も。


3年生の教室ははるか遠いし、2学年も違えば日常生活で接点もほとんどないので、わたしはあの人がまだ学校に在籍しているのかどうかすら知らない。


それでも、学校のなかで、あの広い背中を見かけることは一度もなかった。

海沿いの一本道で、ピカピカの黒いバイクを見かけることも、一度もなかった。