アイ・ラブ・ユーの先で



「佳月ちゃん、おれね、こう見えて昔キッズモデルやってたの。そこそこ売れてたし、本格的にデビューする予定もあった。でも、デカくなるにつれて、相対的に周りのレベルも上がってきてさ、自分の実力を突きつけられることが怖くなって、やめたんだ。

一慶はね、中学まで全国レベルの空手の選手だった。高校の推薦もけっこうもらってたっぽいけど、中学卒業の直前で取り返しのつかない怪我をして、その道を諦めてる」



佐久間先輩はいきなり語った。



「おれたちみんな、いったん道をドロップアウトしてきた、はぐれものなんだよ。経歴もタイプも違うけど、なんとなくお互い同じ場所にいることを感じて、心地いいから一緒にいた。

それでね、そういうおれたちは、どんなに頑張っても報われない現実があることを、よく知ってるんだ。

いたくもない場所にとどまったり、したくもないことをしたり、報われないものに挑み続けたり。そういう苦しみを享受し続けることの無意味さと、虚しさを、よく知ってるんだよ」



どうして、まるっきり違うような3人が仲のいい友達どうしなのか、たしかに少しだけ不思議だった。

いたってドライに話す佐久間先輩の声を耳元に聴きながら、たしかに先輩たちは“熱い友情ごっこ”をしているわけじゃないけれど、そこにはわたしになんかわからない、もっと強い絆みたいなものが存在しているのだと思わずにいられない。



「……それでもね、いつもなにも言わないで全部ひとりで決めてしまいがちな昂弥が、今回は一慶とおれに報告してきたんだ、学校をやめるつもりだって。

おれはね、それを聞いたとき、なんとしても佳月ちゃんに伝えないとダメだって思った。

もしかしたら、どこかで昂弥はそれを望んでいるから、おれたちに言ってきたんじゃないのかって」