「――昂弥、学校やめるつもりでいるよ」
この世の苦痛のぜんぶが体の中心めがけて襲ってきているようで、背筋を伸ばして座っていられなくなってしまった。
たまらず、ベッドの上で正座をしたまま、背中をまるめてうずくまる。
「やめるって……どういう、なんで、いつですか、じゃあ、昂弥先輩、これからどうするんですか」
「理由も、時期も、どこに行くのか、なにをするのかも、実はなにも聞いてなくてさ。おれたちが知ってるのは、昂弥が消えてしまう、ってことだけ」
ぜんぜん、頭がついていかない。
理解できないのではなく、たぶん、しようとしていない。
したくないのだと、脳が必死に足掻いている。
「もしかして、止めて……ないんですか?」
淡々と語る口調に違和感を覚えて、訊ねずにいられなかった。
電子音まじりの甘ったるい声が、ふっと小さく笑ったのがわかった。
「そりゃ、止めないよ。昂弥が決めたことだもん。外野のおれたちが口出すのはよけいなお節介でしょ」
「そんなの、あまりにも……薄情じゃ」
「あのさ、おれら、そんなに熱い友情ごっこみたいなのしてないんだよね」
佐久間先輩はいつもの甘さが嘘のように、とても冷たく言った。
この薄っぺらい機械どうしのあいだに、昂弥先輩にされているのとはまた別の、境界線を引かれているみたいだった。



