「……あ、起きて、ます」
「ほんと? 夜遅くにごめんね」
「いえ……」
声にガッカリという色が出てしまっていなければいいのだけれど。
「昂弥じゃないのも、ごめんね」
思ったそばから指摘されてしまったので反応に困る。
佐久間先輩は「相変わらず素直だね」と、いつもの調子でおちょくるみたいに言った。
居心地が悪いのはたしかだけど、いまは、この変わらなさがとてもありがたいのも事実だ。
「急に、どうしたんですか?」
「うん、佳月ちゃんは大丈夫なのかなーと思って」
先輩たちが普段どんな話をしているかもわからないし、ひょっとしたらなんの話もしていないのかもしれないけど、こういう言い方をするということは、今回の一件を佐久間先輩は多少なりとも知っているのだろう。
「昂弥はあんまり大丈夫じゃなさそうだから」
大丈夫です、
と答えようとしたところに、そうつけ足されて、思わず言葉に詰まってしまう。
「大丈夫じゃないって……なにが、ですか」
「……なにも、知らないか。一慶からの結桜ちゃん経由で、なんか話がいってるんじゃないかとも思ったけど、うちの一慶はそう簡単に口をすべらせるやつじゃないね」
なんだろう。
とても、息が苦しい。心臓が痛い。
なにを言われるのかもまだわからないのに……。



