アイ・ラブ・ユーの先で

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毎日、なんだか、呆けている。

なんの授業にも身が入っていないのがわかるし、ごはんをおいしく食べられていない気がする。

夜、ベッドに入って無理やり目を瞑れば、いつのまにか眠りに落ちていることだけが、いまのところ唯一の救いだ。


あれからまるっと1週間が経つのに、昂弥先輩と会ったり、連絡を取ったりすることはおろか、ちらっとでもその姿を見かけることさえなくなった。


思い出すのは、つきあう前、へたくそに花火大会に誘って、断られたときのこと。

あのとき昂弥先輩は、明らかにわたしを避けていた。
佐久間先輩の証言があったから確実だと思う。


思えば、たぶん、ずっと静かに拒絶されていたのかな。
彼はわたしに対して、きっとどこかで線引きをしていた。


もしかしたら昂弥先輩は、はじめから、いつかこうなることをわかっていたのかもしれない。

わたしみたいな、平凡で、なんの取り柄もない、ふつうの人間に、自分の抱えているものを受けとめる力量なんて備わっていないと、知っていたのかもしれない。


自分が情けない。心の底から恥ずかしい。
いっそ、消えてしまいたい。

どうしてあの夜、先輩の指先がこっちに伸びてきたとき、一瞬でも怖いと思ってしまったのだろう。



いまさらになって、仁香さんに言われた言葉を思い出している。


“昂弥に対してなにかできる自信がないなら、中途半端に干渉してこないで”


こういう忠告なら、昂弥先輩本人からも、それ以外の人からも、さまざまな場所で、タイミングで、されていたじゃないか。

やっぱりわたしは、いつまでも、何者にもなれない佳月のままだ。