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☆
「あーあ。ほーんとよかったあ」
父親の作った天下一品のプリンに、銀色のスプーンを差しながら、仁香さんがほっとしたような感嘆の声を上げた。
相変わらず、目鼻立ちのくっきりした、色素の濃い、うっとりしてしまうほど美しい見た目をしている。
夏休みのうちに絶対に佳月と遊びたいのだと、誘ってくれたのは仁香さんのほうだった。
せっかくなのでサイドスタンドにおじゃましたいと言ったら、やはり父親の経営するカフェのせいか最初は渋られたけど、けっきょく承諾してくれて、ここにいる。
それにしてもここのプリンはいつ食べても本当においしい。これだけで3食ぜんぶ済ませたっていい。
「よかったって、なにがですか?」
「ええ? だから、昂弥と佳月がシッカリどうにかなってくれて、本当によかったーって言ってんの!」
あやうくレモンスカッシュを吹きだすところだった。
なにを、いきなり。
いや、きっとそのことに関しては間違いなくつっこまれるだろうな、と予感はしていたけれども。
「もう時効だと思うから言うけど、あたし、会う前から実は“阿部佳月”のこと知ってたんだよね」
「えっ」
「といっても、名前だけね? 昂弥の初恋の女の子だったの、“阿部佳月”」
にやり、仁香さんが人の悪い顔で笑う。
いちおう血の繋がりがあるとはいえ、きょうだいじゃないということが信じられないくらい、こういう表情は本当に先輩と似ていると思う。
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「あーあ。ほーんとよかったあ」
父親の作った天下一品のプリンに、銀色のスプーンを差しながら、仁香さんがほっとしたような感嘆の声を上げた。
相変わらず、目鼻立ちのくっきりした、色素の濃い、うっとりしてしまうほど美しい見た目をしている。
夏休みのうちに絶対に佳月と遊びたいのだと、誘ってくれたのは仁香さんのほうだった。
せっかくなのでサイドスタンドにおじゃましたいと言ったら、やはり父親の経営するカフェのせいか最初は渋られたけど、けっきょく承諾してくれて、ここにいる。
それにしてもここのプリンはいつ食べても本当においしい。これだけで3食ぜんぶ済ませたっていい。
「よかったって、なにがですか?」
「ええ? だから、昂弥と佳月がシッカリどうにかなってくれて、本当によかったーって言ってんの!」
あやうくレモンスカッシュを吹きだすところだった。
なにを、いきなり。
いや、きっとそのことに関しては間違いなくつっこまれるだろうな、と予感はしていたけれども。
「もう時効だと思うから言うけど、あたし、会う前から実は“阿部佳月”のこと知ってたんだよね」
「えっ」
「といっても、名前だけね? 昂弥の初恋の女の子だったの、“阿部佳月”」
にやり、仁香さんが人の悪い顔で笑う。
いちおう血の繋がりがあるとはいえ、きょうだいじゃないということが信じられないくらい、こういう表情は本当に先輩と似ていると思う。



