アイ・ラブ・ユーの先で



わたしたちは、仲のいいきょうだいだと評価されることが多かったね。

兄は、妹たちをかわいがって。
妹たちは、兄を慕って。

それは間違いじゃないし、まぎれもなく当たっていること。


だけど、ぜったい、それだけじゃない。そんなわけがない。

だって、わたしたちは違う人間として生まれ落ちて、それぞれが意思をもって、想いをもって、別の人生を、きっと必死に生きている。


「侑月は……ひとりだけいつまでも幼稚園児みたいに扱われるの、いやだった。お兄ちゃんとお姉ちゃんは、もう大人みたいに放任してもらってるのに、侑月だけ過保護すぎるの、ほんとは、すごく、いやだった」


完全無欠に美しく見える、いちばんオモテの薄っぺらい部分を取り外せば、いやでも見えてくる、きれいじゃない気持ち。

でも、それがあるからこそ関係性が分厚くなるのだということを、わたしたち家族は、知らず知らずのうちに見ないふりしていたのかもしれない。


「わたしだって……お兄ちゃんと、侑月に、嫉妬してばっかりだったよ。ずるいって思ってたよ。なんでわたしばっかり放っておかれるの、我慢しなきゃならないの、って」


窓際でずっと押し黙っていたお父さんが、左手で息子の手をとり、反対の手で奥さんの手をとった。

そうして自然と繋がっていく、5人分の手のひら。

出来上がった丸いかたちは、これまでのいつよりも、とても柔らかで、強固な気がした。