奥にあるベッドの上で、病衣をまとい、点滴を繋げたお母さんが、それでも上体を起こしている。その傍らにはお父さんとお兄ちゃんもいた。
「佳月が来るらしいって言ったら、侑月が、どうしてもって」
そうあきれたように声を出したのは、お兄ちゃんだった。
「お姉ちゃん……、ごめんなさい、ごめんなさいっ……」
かわいい顔を涙でグジュグジュに濡らしながら、額をわたしのTシャツに押しつけて、妹は何度も謝罪の言葉をくり返した。
それを聞いているうちに、つられてわたしも視界がゆがんでしまう。
こんなところで、家族の前で、感情をむき出しにして泣きたくないのに。
なんて、もはや、いまさらか。
「……ごめん、侑月、謝らないといけないのはわたしのほうだよ」
「ちがう、お姉ちゃんは悪くないの、侑月が八つ当たりしただけなの、お姉ちゃん、優しいからっ、……ほんとうに、ごめんなさい」
それは、本当に、ぜんぜん違っていて。
懐いてくれる妹にまで嫌われてしまって、居場所を失うのが恐ろしくて、ずっと優しい姉のふりをしていただけで。
わたしは、本当は、ずっと侑月に嫉妬していた。
お兄ちゃんに対しても、同じように。
お父さんと、お母さんにも、頭のなかでは数えきれないほど文句をつけていた。
だから、謝らないといけないのは、わたしのほうだ。



