「あのね、きいて、かづき、あした、たいいんするんだってー!」
ここで会って話すようになって、4日目。
顔を見るなりそう報告すると、さとくんはうれしそうに「おお」と声を上げ、よかったじゃん、と自分のことみたいに言ってくれた。
「何時? 見送りに行くよ」
「んと、わかんない……、朝かな?」
「朝か。じゃ、行けないな、学校あるし」
そっかあ、と答えながら、なんとなくなにかが足りないような、もどかしい気持ちになってしまう。
退院できるのは本当にうれしい。
でも、きょう限りでさとくんに会えなくなるのは、やっぱりとても悲しい。
「でも、家に帰れるんだろ? よかったじゃん。これでもう寂しくないな」
「ウン……」
本当に、そうかな。
帰ったら、もう寂しくなくなるのかな。
あの家で、わたしは、一度も寂しさを感じたことがなかったかな。
家に帰ってもお母さんのいない、さとくんのほうは、どうなんだろう。
「……でも、かづき、さとくんにも会いたいなー」
「ははっ、わがままかよ」
「さとくんは、かづきがいなくて、さみしくない?」
「寂しいわけないじゃん」
たしか、わたしよりふたつ年上の3年生、お兄ちゃんと同い年だと聞いている。
それにしては、お兄ちゃんや、その友達に比べて、とても親しみやすい男の子だと感じていた。
だけど、きっぱりとそう言ったさとくんは、そのうちの誰よりもずっと遠くにいるような、大人びた顔をしていると思った。
「ウソだけど」
口をとがらせかけたところに、すぐさま手のひらをかえす言葉。



