アイ・ラブ・ユーの先で



「ていうか……結桜、あの人のこと知ってるの?」

「うん、ウチ、同じ中学出身だからさ。あ、でも知り合いなわけじゃなくて、こっちが一方的に知ってるだけね」

「あ、そうなんだ……」


もしや、やっぱり、有名な人?

あんないかついバイクに堂々と乗って、初対面の女子を馴れ馴れしくオマエと呼んで、泣いたことを慰めるどころか、からかい倒してくるような人柄だ。

もしや……悪い意味で、有名な人?


「水崎先輩、見た目はかっこいいけど、中学のころからあんまり良い噂聞かないよ」


案の定、結桜は少し眉をひそめてそう言った。


「そ、そうなの……?」

「うん、中学のころから学校にもあんまり来てなかったし。なんかやばいバイトしてるとか、やばい連中と関わりがあるとか、やばい女の人とつきあってるとか、いろいろ聞いたことある」


ぜんぶ噂にすぎないけどね、とつけたしながら肩をすくめる。
くり返される『やばい』という形容詞にどのくらいの信憑性があるのか、結桜も、あまりわかっていないようだ。


「だからこのハマ高に入るらしいって聞いたときは友達とビックリしてたんだよ。『え、ふつうに高校行くの? しかもふつうにアタマ悪くない高校じゃん』って! まさかウチも2年後ハマ高生になるとは思ってなかったんだけどさあ」


2年後、ということは、あの人は3年生の先輩なのか。

……なんて冷静に分析している場合ではない、かも。