アイ・ラブ・ユーの先で



「昂弥先輩は“ふつう”じゃない人なの?」

「ハ? むしろ、あの人からフツウな箇所を探すほうがムズイんじゃね?」


たしかに、それは、その通りかもしれない。

先輩は、ふつうの高校生には縁のない特性ばかりをもっている。
たとえば、バイクを乗りまわしているとか。学校を休んでまで、アルバイトに明け暮れているとか。

そして、たぶん、ほかにもたくさん、わたしの想像すらはるか及ばないようなことも……。


「……中学時代は、けっこう荒れてたんだってね」

「そのへんはちゃんと知ってんだな」


はい知っています、と胸を張れるほど、知っているわけじゃないけれど。

わたしが聞いたのはその事実だけで、具体的に彼がなにをしてきたのか、本当はぜんぜん知らない。


それでもうなずいてしまったのは、ルール違反だとわかっていても、少しの詮索をしたかったから。

たった1ピースだけでいい、まったく全貌が見えない水崎昂弥の、断片が欲しい。


「銀河くん……は、中学のころ、昂弥先輩と知りあったの?」

「うん、中学が同じで、直属の後輩」


それなら結桜と同級生のはずなので、知っているか訊ねてみたけど、ダメだった。

同級生の顔や名前なんか、喧嘩でもしない限り覚えていないって。それほどまでに“ふつう”の生徒とは関わりがなかったのだと、銀河くんはつまらなさそうに吐き捨てた。


「おれ、中学に上がりたてのころメチャクチャしててさ、上級生にもガンガン喧嘩売って、ボコられて、半殺しにされたりして。で、そんとき、昂弥さんに拾ってもらったんだよ」