「おまえ、昂弥さんとつきあってんの?」
窓辺に立てかけてあるマットレスの横へ、無造作に扇風機を置いた銀河くんが、唐突に問うた。
質問の内容より、いきなりオマエ呼ばわりされたことに目がテンになる。
これとまったく同じ経験を、数か月前の入学式の朝、わたしはすでに一度したことがあった。
「べつに、なんでもいいけど」
興味なさそうに言うくせに、ぎろりと鋭く光っているふたつのビー玉は、わたしを見つめたままいっこうに逸らされない。
「なんか……あんまり、よくなさそうだけど」
「や、なんか意外だろ、だって」
悪意はないのだと弁解するみたいに、銀河くんが小さくかぶりを振った。
ツンツンの黒髪が軽快に踊る。
無添加ながら、無数の針を寄せ集めた感じに見えるそれは、彼を守っている鎧のようだった。
「なんつーの、おまえ、おれらと違ってフツウな感じじゃん」
ふつう、って、褒め言葉じゃない。
少なくとも、わたしにとって、その単語が褒め言葉として存在していたことは、一度もなかった。
だからなんと言えばいいのかもわからず、首をひねりながら曖昧にうなずいた。
わたしのその動作に、銀河くんはあまり納得できていなさそうに、ぐいっと眉をひそめたのだった。



