アイ・ラブ・ユーの先で



そして、上から下まで彼女をちゃんと見てみると、それは髪型のみに限ったことではなかった。

すでに少し着崩している制服とか、ひとつひとつの持ちもの、それから、たぶんうっすらとその童顔を色づかせているナチュラルメイク、いまは飾りを外してある耳たぶの穴たち。

結桜は自分の見せ方をよく知っているのだと思うし、それにくわえて、きっととてもファッションのたぐいが好きなんだろう。

それは、実は、きのうはじめて会ったときから感じていたんだ。
すごくお洒落なコだって。


「佳月の髪、ツヤツヤだからなんでもできそうだなあ。いいなあ」

「そうかな。ポニーテールしてもするする落ちてきちゃうから困るくらいだけどね」

「えー、そんなにサラサラなんて逆にうらやましいよ! ね、今度よかったら髪さわらせて」

「ええっ、いいの? やってほしい!」


会話をしながら慣れない校舎のなかを歩きつつ、視線の端の端まで神経を研ぎ澄ませていたのは、たぶん無意識のうち。


ひそかに探している人がいた。

おかしな意味じゃなくて。
ただ、きのうは時間がなかったから、改めてお礼を伝えたくて。



たしか、名前は――ミズサキ・コウヤ。



「あ……」


あれ、意外とけっこう目立つ人なんだな、と思った。


登校ラッシュのこの時間、学年・クラス・部活関係なく、あらゆる生徒たちが入り乱れている下駄箱付近。

仲の良い友人を見つけるのでさえむずかしそうなこの場所で、彼は、ほかのすべてをかいくぐって、わたしの視界に飛びこんできたのだった。